MENU

スウェーデン木工留学記

カペラゴーデン編

2003/05/18

第34回 カペラゴーデン夏の展示会

カペラゴーデンの一年間は毎年8月後半から始まり、翌年の6月始めに終了します。その間の夏休み期間中はカペラゴーデン近くにある元々は学校だった建物で、作品展示会および販売が行われます。

 カペラゴーデンがある夏のリゾート地、スウェーデン南東のエーランド島にはたくさんの観光客が訪れてきます。カペラゴーデン夏の展示会は観光ガイドブックにも出ていて、こちらにも2ヶ月半の期間中にたくさんの見学者が訪れます。製作した学生自身が購入した作品以外は基本的に販売されます。

 毎年、春になるとその年の展示会の企画が始まります。会場のレイアウトをする監督を外部から招く事もあり、毎年、趣の異なる展示会になります。監督は各々の学生が出品したい物を確認し、構想を練っていきます。

2002年の展示会で僕が掲示した物

展示会場は決して広いスペースではなく、木工科の作品は家具という性質上、学生の希望する全作品を展示できるとは限りません。学生の家具には先生が材料やクオリティーを考慮して値段をつけていきます。高価な物も多いのですが、「カール・マルムステン」の名前と、カペラゴーデンの「CG」マークの効果は大きく、期間中に売却される物もあります。

 展示会場入り口の壁には学生個人が工夫を凝らした写真が貼られています。僕は数種の和紙に写真を印刷し、ちぎって並べました。会場内には、それぞれの簡単な自己紹介を兼ねたファイルも置かれていて、コンタクトが取れるように名刺を入れておく者もいます。

 それでは展示された学生の作品をいくつかご覧下さい。このページの写真は2001年夏(僕が1年生の時)と、2002年度(2年生の時)に展示された作品達です。

カール・マルムステンのデザインした机Lundvik。未使用時は手前の板を持ち上げて鍵をかける事が出来ます

学生がデザインしたサイドボード。巻き扉になっています

スウェーデン人の皆はジャパン・レール・パスを使用しました。期間内のJRは乗り放題になります

巻き扉に浮世絵の象眼(木画)を施してある戸棚。これを制作した彼の出身地ヨーテボリの美術館は浮世絵のコレクションで有名です

学生のデザインした椅子です

マルムステンの戸棚です。ワインとグラスを収納する事が出来るように内部が作られています。それに合わせて扉もグラス型にスリットが入っています

僕が一年生の時の最初の課題であった「燭台」と他の一年生の作品達です

カール・マルムステンの名を有名にした「市庁舎の椅子」。1916年にストックホルム市庁舎の為にデザインされた物です

生後間もない新生児の為の揺りかご。マルムステンのデザインです

手前の椅子はマルムステンのJons、奥の椅子は学生がデザインし、製作した物。窓際のベンチは、その年の一年生への課題であった食堂で使用するベンチです

職人試験の為に製作された机

同じく、学生が職人試験の為に製作した戸棚

13段の引き出しと扉のついている棚です。前面が曲面になっています

僕が製作したマルムステンの裁縫箱です。上には和紙を使った折り紙ランプを吊しています

この2つも職人試験受験の為に製作された戸棚と机です

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!