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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2005.03.09

第32回 ストックホルム ファニチャーフェア 2005! 企業の展示編

こんにちは!スウェーデンの須藤です。このところ冷えまくりのストックホルムからお伝えします。前回の学生、若手デザイナー編に続いて今回は家具インテリア関連企業の展示を紹介します。

ストックホルム国際家具見本市(ファニチャーフェア)は、家具関連企業にとっては大事な商談の場。新製品の発表を行ったり、新たなビジネスパートナーとのコンタクトを得る目的があるはずです。それでは、学生たちとは見せ方、規模、資金力ともに違う展示会場を見てみましょう。


至る所でこの様に商談が行われています。初日にめぼしい物をリストアップして、2日目くらいから商談が始まるという事も多いようです。この写真は椅子を覆う生地について話している最中でしょうか。


企業展示のエリアへ向かう途中に、インテリア雑誌Skonahem主催の“今年の家具”を受賞したこれまでの家具たちが並んでいます。今年はUDDABOという作業机をデザインしたThomas Bernstrandが受賞。


最終日以外、会場内は関係者のみ入場可となっているのですが、実際は様々な人が見受けられます。子供を持って新たに実感した事が、スウェーデンではこの様にベビーカーを押していても全く問題ない事。それはここへ来るまでの道のりもそう。例えばこちらを参考にどうぞ

会場内でも普通に動き回る事が出来ます。今、スウェーデンはベビーブームという事もありますが、昼時の会場内レストランは一種のベビーカーの見本市の様でした(笑)。


まずは、かなり高い注目を集めていたノルウェーのLK HJELLEから。Norway Saysというグループ名でこの数年、知名度が上がってきました。前号で紹介した若手向けのGreen Houseに相当するミラノサローネのサテライトにも過去に招致されていたようです。写真のソファーはUGO。


可愛いソファーテーブルTWIN。


まっすぐの椅子をバキッと曲げた様に見える綺麗なソファーBREAK。


そして、“息子を連れて注目のデザイン家具で遊ぶ”という計画を実行。ちょうど良い高さの背もたれ、そして隙間から後ろを覗いて遊んでいました。


子供椅子で有名ですが、実際は人間工学に基づいた家具が得意で様々な商品を開発しています。写真の椅子は普通の椅子よりも体をサポートする範囲が大きくなっています。座り心地の良さが容易に想像できます。


キッチンや立ち作業をする現場での使用を想定し、考えられたスツール。写真からは分かりづらいですが傾けながら使用可能。日本では銀座松屋で多くのSTOKKE製品を扱っています。


Yngve Ekstromが創設し、現在は様々なデザイナーの商品を幅広く展開するSWEDESE。写真は木の形状をしたコートハンガーTree。


去年はGreen Houseで出展していた日本のnendoが発表したローテーブルSNOW。SWEDESEの展示ブース内でも一番目立つ場所に位置していることから、力の入れようが分かります。分解が容易で、輸送に必要なスペースを極力抑える事が出来る様にもなっています。

僕が感心した事はデザインや発想の面白さもさることながら、会社組織としての活動も確立している事。今後、どの様な物を発案してくるかとても興味があります。


1990年創立ながら勢いのあるOffecctの展示。

この家庭のリビング向け家具CELLはCKRのEero Koivistoによる新作。


鏡、ハンガーなどのK-LINEをデザインしたのは、アムステルダムで活動するイラン人デザイナーのKhodi Feiz。


スイスを拠点にするデザイナーAlfredo HaberliのPICK UP。子供のオモチャに出来そうですが、タイヤが危なそう。


最高のオフィスチェアAeron Chairを作っているHerman Miller社の展示。クロームメッキの最新モデル。どの様な体型の人にでも合わせる事ができる。西洋人に比べて脚の短い日本人にも対応可能な機構が付いていて感心。かなり値が張りますが、長時間コンピュータの前で作業をする様な方には特にお勧め。


イタリアの照明器具メーカーLUCEPLANの展示。仕切りとなる糸が美しい。


オランダのmoooiの展示ブースを囲むランプRandom Light。エポキシで固めて形状を作っていますが、電球を交換する為の穴もちゃんと空いています。直径1メートルの物(50センチ、85センチもある)はかなり目立ちそうだが、最大の難点は輸送でしょうか?軽いけれども重ね合わせる事が出来ないので場所が必要です。


デンマークのSkanbach社の展示。取り扱っているフィンランドのEero Aarnioのプラスチック家具を大々的に紹介。


そのAarnioのBubble Chairに息子を座らせてみました。最初は驚いていたみたいですが、ユラユラとするのは悪くないみたい。


スウェーデンのKarl Andersson & Soner社がデンマークのBorge Mogensenと共に活動し始めてから50年を記念してオリジナルの松とチーク材で復刻したサイドボードOresund。スポットライトが強力に当たっていたので上手に撮影できませんでしたがとても美しい家具です。


その引き出しの取っ手を拡大。50台限定で復刻予定です。


前回に紹介した会場エントランスの招待展示を行ったRonanとErwan Bouroullec兄弟のもう一つの間仕切りAlgues。うーん、モダンな会議室だ。


そしてVitraが力を入れる椅子コレクションのミニチュアたち。非常に出来が良い。


ブルーノ マットソン社から現代的な素材も使って復刻される事になったマットソンのイージーチェアJetson 66。


息子にとっては、背後が透けて見えるのが面白いみたいです。


スウェーデン在住のHiromi Ballantyneさんが発案した、子供の創造性を刺激する遊び道具にも家具にもなるPAZU。


非常にシンプルなアイデアですが、子供たち向けに色々な要素が含まれていて面白い。


最初は子供向け家具かと思ったのですが、そうではなく子供の様な遊び心を持ったデザインをしているというMAYA interiorの家具。


SMD Office Designの鳥のエサ台PIP-PIP。


家庭向けのとても遊び心にあふれたプラスチック製品を作っているドイツのkoziol。今回は彼ららしいインテリア空間を提案。軽食も提供していた。


各ブロックごとに同じ模様になっているのだけど、スライスしたのかな?


スウェーデンMateria社のソファー。もちろん法人向けを考えている。


このソファーの上を探検。ずーっと繋がっているので面白いようだ。


Hans J. Wegnerの作品を作るCarl Hansen & Son社。1956年にデザインされてから、初めて商品化されたウェグナーの椅子等を展示。ここのサイトを見ていて気づいたのですが、資料価値がとても高い事が分かりました。


デンマークの照明メーカーLe Klint。紙の様な素材感のランプシェードを使い美しくまとめている。


Men At WorkのTord Boontjeがデザインした紙で出来たランプMidsummer light。残念ながらまだこの商品のサイトは無いようです。


このカーテンに見とれてしまい、展示している社名のチェックをうっかり忘れてしまいました。


僕が一目惚れしたBelysningsbolagetの非常に豪華なクリスタルガラス製のランプKumulus。ロンドンのハロッズでも扱われているほど素晴らしい出来栄え。吹きガラスの職人が約50ものパーツを作り出しています。


Ake AxelssonのGalleri Stolenと合併したGarsnas社の展示。これはAxelssonのソファーQuadratus。


このイージーチェアSplit 4590をデザインしたデザイナーAnna von Schewen。照明が強すぎたので影が強く出てしまっているけど、本当はもっと素敵な人。


ちゃんと息子も座ってきました。


5日間ずっと会場を訪れ、約300枚(削除した分を含めればもっと)の撮影をしました。非常に色々なことを知り、たくさんのコンタクトを得る事ができて有意義だったと思っています。全部は紹介しきれませんでしたが、お楽しみいただけたでしょうか。感想もお待ちしております。

次回はこの期間中に行っていた僕の本業などについて報告する予定です。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!