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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2005.05.11

第35回 ミラノサローネへ

こんにちは!スウェーデンの須藤です。
4月初めに開催されていたサローネへ行ってきました。ミラノはとても暖かく半袖でも動き回れるほどでしたが、ストックホルムはまだ風が冷たく油断できません。今回はもちろん、そのサローネの報告です。
前回のレポートで書いていますが、サローネへは僕が在籍するマルムステン校の旅行として出かけました。当初、学校の先生が日程を一週間も間違えていて、市内のホテルを再予約しようとしたら既に空きが無かったという失敗はありましたが、その他は楽しんで帰ってくる事が出来ました。
今回は僕にとって初めてのイタリア旅行、そしてサローネ見学でした。同じヨーロッパの国ではあってもスウェーデンなど北欧の国と色々な点で違いを感じました。たった数日間の滞在でしたが、このレポートを通して紹介していきたいと思います。

注:僕が見てきた物はサローネという巨大イベントのごく一部です。まだまだ他にもたくさんの素晴らしい展示、イベントが行われていました。

まずはミラノへの旅路。ストックホルム郊外の空港からミラノへ移動しました。僕以外の皆は空港到着時、チェックイン後、さらには機内と毎回のようにアルコールをグイグイと飲んでいました。ちょっと飲み過ぎじゃないかと…。ちなみに、この待合室の家具たちはスウェーデンのOFFECT社の製品。例えば、僕のカバンが置いてあるオレンジ色のスツールは、CKRのKoivistデザイン。


ヨーロッパ国内の移動では最安のライアンエアを利用しました。ミラノまで片道数千円。


暗くなってからミラノに到着。ホテルのバスが迎えに来てくれました。22時頃にホテルに到着し、近くのピザ屋さんへ出かけました。写真を撮らなかったのが悔やまれますが、ピザ、ティラミス共に美味しく感激しました。


サローネ初日の朝。僕たちが宿泊したホテルは古い町並みの中にあり、自転車にはかなり大変そうな石畳の道路でした。


ミラノ中心部まで電車で一時間ほどかかる為、早めに出かけたのですが、見事に電車が遅れて来ない…。結局、滞在中に定刻通りに来た事は一度もありませんでした。


やっと到着したミラノ中央駅。


駅舎内に入るとあまりの立派さに唖然としました。とにかく巨大。それでも、広告を上手に収めています。


中央駅の外から。全体が写真に収まらないほど。


今度は地下鉄(この写真は中央駅ではありません)に乗って移動。しかし、全然来ない…。(笑)


サローネ会場の最寄り駅。ここから入場口までちょっと歩きます。僕はプレス パスを所持していたので、他の皆とは別行動する事に。


うんざりするほど広大な会場の中心部。ここには雑誌社のブース等が並んでいます。プレスセンターもこのすぐ近く。


プレスルーム。ストックホルム家具見本市と比べても断然設備が整っており、iMac G5とキャノンのプリンターも設置されていました。パソコンを持ってこなくても、この場で資料を調べたり、情報を送ったりする事が出来てとても便利。早速、設備を活用して写真のバックアップをとったり、この場からサローネ速報を載せました。たくさんもらった資料も預けられるので便利。


まずは一番興味があるサテライト会場から。ここではストックホルム国際家具見本市のGreen Houseと同じく、学生や若手のデザイナー達がたくさん出展しています。もちろん、単に展示をするだけでなく、将来のチャンスを掴みに来ているはずです。


建物に入ってすぐに目に入るのが、モザイク装飾されているMini。Biazza社の展示で他の物も面白かった。でも、ここはサテライトじゃないの?と思ったら、上階がサテライト会場でした。Biazzaのサイト。美しいので必見。


サテライト会場に到着。かなり広いし、人も多く熱気にあふれていた。


フランスのDOMO MODOのユニット式照明。


山田 佳一郎さんの考案した新ジョイント システムを使った椅子「INLAY」。とても興味深い構造なので何度も触ってしまいました。加工精度は非常に高く、接着前でも既に十分な強度が出ていそうです。今後の発展が楽しみです。


4人組グループCO/EXのKota Nezuさんのスツール「Jellyfish」。腰掛けたり、軽くたたくと衝撃が波紋となり床に映し出されるようになっている。


バルセロナで活動するHIROSHI TSUNODA DESIGN STUDIOのテーブル「Vanity」


oozeが出品した、重厚感たっぷりの「VOLCANiques System」。様々な形態の基本ユニットが用意され、組み合わせていく事で椅子や、戸棚、ダイニングテーブル、棚になる。


日本のSO-DESIGNによる、はしご状のランプ。丸めた時の光り方も綺麗そう。


プエルトリコのReynold RodriguezによるDJテーブル「00 DJ TABLE」。彼自身がプレイしていた。


サテライト会場で明らかに異彩を放っていたのが、このTONERICO:INC.による照明「MEMENTO」。サテライト出展者一覧の冊子でも、出品説明に数字だけを羅列しているという徹底ぶり。見事に僕はミスプリント??と騙されました(笑)。3年続けての出展で、これまでとは違う方向を目指したとの事。世界中何処でも通用する数字を使い、ひとつのオブジェとも言える照明になっている。数字の間を抜ける光と、数字によって受け止められた影によって空間が生み出されています。


NorthwardsによるSuper Low Sofa。ランプも綺麗だった。ウェブサイトもあるが秘密主義なのか写真を全然、見せてくれないのが残念。


TOTOの有志が集まって出展したOTOTO。これは蛇口に引っかける事で簡易流しになるAPPENDERE。


ロンドンのClaudioとYeonjuによる電話機のプロトタイプ。タッチセンサー式のボタンを備えている。


ドイツのMETROFARMによる、なんとコンクリート製のロッキングチェア。重量85キロ。DJテーブルなどバリエーションもある。公共スペースなどに使うと面白そう。


イタリアで活動する日本人デザイナー、渡辺さんと田中さんのM+K Designによる携帯可能なランプ「Porta-luce」。卓上に写っている様に6つの光源を備えている。


2日目の夕方に行われたドイツのDesign Report Magazineによる表彰式。130近い出展者(もちろん作品数はもっと多い)の中から5作品が選出され、その内、2作品は日本人デザイナーによる物でした!ひとつはM+K Designの「Porta-luce」。そしてTONERICO:INC.の「MEMENTO」は最優秀作品に選ばれました。どちらも同日の午前中に取材したばかりだったので僕はビックリ。受賞の知らせが受賞者自身へ届いたのも発表の30分前だったそうで、やはりビックリした事でしょう。

ストックホルム家具見本市でもそうでしたが、チャンスを掴む人を目の当たりにすることは非常に刺激的です。


プレスルームに戻って休憩。なんとVeuve Clicquot(ブーブ クリコ)のシャンパンバーがプレスルーム内の一角に設けられていました。美味しかった♪ 隣ではエスプレッソも振る舞われているのだけど、僕の好きな紅茶は無くてちょっと不満(笑)。


また一時間かけて宿泊しているホテルへ。古い電車だったり、この様な新しい車両だったりと色々でした。


今回はサテライト会場をご覧頂きましたが、次回は企業のブースや街中での催しなどを紹介します。
お楽しみに~。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!