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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2010.01.27

第78回 ついに卒業 + マルムステン新校舎

私のスウェーデン留学を紹介し続けてきたこのレポート、ついに最終段階となりました。10年にも及んだ滞在に区切りを付け、年末に日本へ帰国いたしました。帰国直前に完了した、スウェーデンで最後の大仕事を今回は紹介します。

当初の予定では、もうちょっと早く卒業しているはずだったのですが、卒業プロジェクトの規模が大きくなりつづけた結果、在学期間が延び続けました。そうこうしているうちに、マルムステン校はストックホルム郊外の風光明媚な場所に移転。新校舎のお披露目と、その数日後に僕の卒論発表が行われることになりました。

まずは卒業論文の内容を説明します。僕の卒論の主要テーマは、日本での展示会開催(2007年初頭にリビングデザインセンターOZONEで行った展示会です。JDNレポート第52回参照)。展示会に関連すること全てを一つにまとめました。展示会を企画し運営することは、作品作りと並んで大事な事柄ですので、卒業プロジェクトとしては打ってつけの題材でした。

展示会開催後の様々な出来事から、記述すべき内容が増え、最終的に140ページ超の論文(半分は関連資料集です)となりました。


展示会に出展するあらゆる物をリストアップ。説明パネルや、写真の見せ方なども説明しています。また、複数の会場候補、スポンサー探しの紆余曲折なども全て紹介。


宣伝告知に使用するポストカードの制作過程を、会場とのやり取りを含めて記述しています。


スウェーデンからの輸送方法の検討から、日本国内での搬入日までの準備事項なども。


肝心の展示会中の事柄には、それほど大きなページを必要としませんでした。事前準備および、その後の出来事が本当に多くあったからです。


展示会を通して得た事柄も必須事項です。雑誌等のメディア掲載についても紹介しています。


そして、展示会開催準備と平行して進めていた著書執筆についても記述。二週間の展示会では到底紹介できない内容を、これで補うことができたと思っています。


展示会に出展するあらゆる物をリストアップ。説明パネルや、写真の見せ方なども説明しています。また、複数の会場候補、スポンサー探しの紆余曲折なども全て紹介。


まずは、リンショーピン大学の楽団が、セレモニーを盛り上げます。変わったことばかりやっていて、面白かったです(笑)。


手前に立っているのは警備員。こんな感じの屈強なガードマン(銃以外は一通り装備)がたくさん並んでいました。たぶん私服警官もいたことでしょう。 なぜかというと、


スウェーデン王室からビクトリア王女(次期女王)が開校式にやって来たからです。ストックホルム郊外の島であるにもかかわらず、かなりの見物人でした。テープカットの瞬間をうまく撮れました。


会場をあとにするビクトリア王女の車は、もちろんボルボ。こんなに綺麗なボルボは初めて見ました。内装も素晴らしい。


この後、開校パーティー。


少し校内を紹介しましょう。驚くほど素晴らしい環境ですよ。


これまでの街中にあったマルムステンの校舎は、手狭であることを除いては悪くなかったのですが、今回の新しい校舎を見てしまうと雲泥の差を感じてしまいます。隙の無い最高の環境が整ったと言えるかもしれません。


家具デザイン科。資料として用意されている椅子が大幅に増えました。マルムステンの椅子は当然として、ウェグナーなどのデンマークの椅子、スーパー レジェーラのモデルとなった椅子なども見えています。


各学生のアトリエ。すごく広々としています。


家具生地張りのコース。目の前にある作業中の物は、マルムステンの椅子Samsasです。


座面の籐を張り替え中のトーネット14番。


少し校内を紹介しましょう。驚くほど素晴らしい環境ですよ。


ロココ様式の家具が家具修復科の教室前に並んでいました。


作業スペースは、以前までの狭苦しさと比べると、ずっと動き回りやすくなりました。


まだ準備中という感もありますが、これからの変化が楽しみです。この子は学生の娘さん。


家具製作科の作業場。うわーっ、広い!うらやましいっ!


製作中の椅子がありました。ウェグナーのThe Chairですね。


作業台の前にあったスツールを試す娘。


そして、さらに度肝を抜かれたのが、機械場。新しく導入された工作機械がたくさんありました。


日本での工房設立を準備中の僕が、涎を垂らすほど欲しい機械が幾つも並んでいます。冗談じゃなく持って帰りたい。←持てません。1トン超え。 ちょっとした工場にも引けを取らないほどの充実した設備になりました。余裕をもって作業できる広さも魅力です。集塵能力も抜群なのでしょう。


なんて広い部屋。そして大きな窓。暖房や照明、電源などの設備もしっかり整っています。


三箇所ある階段は、それぞれ違う色になっています。あと二つは、赤と紫だったかな。強烈ですが分かりやすいです。


日本での工房設立を準備中の僕が、涎を垂らすほど欲しい機械が幾つも並んでいます。冗談じゃなく持って帰りたい。←持てません。1トン超え。 ちょっとした工場にも引けを取らないほどの充実した設備になりました。余裕をもって作業できる広さも魅力です。集塵能力も抜群なのでしょう。


日本に帰国し、しばらく経ったある日、封書がひとつ届きました。何だろうと思って開封してみると、出てきたのは証明書でした。


スウェーデンのリンショーピン大学の全課程を修了したという成績証と、


卒業証書でした。職人資格の際もそうでしたが、証明書が届くと本当に安心できますね。


これで、スウェーデンでやるべき事が一通り終わりました。応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。これからは日本での活動に向けて準備を進めていく予定です。まだ紹介したい事柄がありますので、この連載レポート「スウェーデン木工留学」をもうしばらく続けたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!