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Capellagården カペラゴーデンとは

カペラゴーデン(カペラガーデン)の入り口

カペラゴーデン

2000年から2003年まで、私が学んでいたカペラゴーデンは1957年にカール・マルムステンが、生活や社会での基盤となる“物作り”の聖域を作りたいと考え、創立した学校です。木工・家具デザイン科、テキスタイル(織物、プリント、染色)科、陶芸科と園芸(有機栽培によるガーデニング)科の4つのコースを有し、約60人の若者が学んでいます。

自由な校風に溢れている中で3年間生活し、工業的な大量生産とは異なる、芸術・工芸としての物作りの場とは何かを知ることができました。

学生は基本的に校内の寮で生活し、生活に必要な物を自分たちで作り、使用します。生徒それぞれの独創性や創造性を重視した高度な技能教育が行われています。

寮も校内に設けられていて、一日の食事も提供されます。全員でひとつの共同体という感じでしょうか。

自分たちの暮らしの場にある物、例えば家具ならば木工科、コップなどは陶芸科、マットはテキスタイル科というように、過去の作品に囲まれた中で暮らし、学生達はそれらに触れ、考え、影響を受けながら、新たな物を生み出すことを学びます。

私は2000年8月に木工のクラスに入学しました。3年間のコースです。このページの内容は木工科を中心に書いていますが、他の科も基本的には同じだと思います。

Capellagårdenは現在スウェーデンで木工分野でストックホルムにあるCarl Malmsten CTDと並ぶ最高峰の学校となっています。4コース、全学年合計で約70人くらいの小さな学校です。

 木工科では3年次に希望することでスウェーデンの木工職人試験(ドイツでいうマイスターの一つ手前の試験です)の受験が可能です。製図、製作、完成作品の全てが審査の対象となるとてもハードな試験です。

Capellagårdenに入学するには

まずは僕がここに入学するまでの過程を説明します。1999年夏にサマーコースに参加したことがカペラゴーデンとの最初の出会いです。ここを気に入り本科に入学したいと思いました。

2000年の3月に再び学校を訪れ、本科の先生との面接に臨みました。筆記や実技のテストはありません。これまでにやって来た事(作品でも、芸術活動などでも構わない)をまとめたポートフォリオと入学願書の提出のみでした。

入学してから知ったことですが、木工科に入るからといって木工の経験者でなければいけないわけではありません。技術よりも、何が出来るか、これまでの色々な経験や、アピールできるような特技が重視されるようです。全くの初心者も場合によっては合格することがありますし、どんなに経験豊富な者だとしても断られることもあるでしょう。

様々な特色を持った学生を選ぶというカペラゴーデンの特徴が現れています。

とは言っても、日本人として外国で学びたいのでしたら、最低でも基本的技術は取得してからをお勧めします。未経験での合格はあくまでも例外です。

もし、合格したとした場合に確実に必要になる必要経費(※2006年頃の記述です。現在はこれよりも高額と思って下さい)です。

寮費(平日3食光熱費込み)
一ヶ月3400×9回=30600クローナ

学費(個人的な材料費は含まず)
半年6000×2=12000クローナ
留学生はさらに年20000クローナ

合計62600クローナです。1クローナ18円換算で約115万円になります。他には休日の食費、携帯電話、車を所有する場合はさらに経費がかかるでしょうし、タバコやお酒が好きならば跳ね上がります。

これらは日本で大学に通うための必要経費よりははるかに安いと思いますが、スウェーデンでは基本的に学費はかかりませんので、このカペラゴーデンの学費はスウェーデン人にとっては極めて高額です。奨学金を受給しながら学んでいる者も多くいます。

ビザはスウェーデンに3ヶ月以上滞在する場合に必要ですので必須です。申請時に、経済力の証明(留学期間中に働かなくても生活できる根拠として)を用意しなければいけません。

スウェーデンでは留学に関して、語学力はアメリカのようには厳しくないようです、もちろん出来る方が良いでしょう。英語で基本的な会話や、自分の基本を伝えるなどが出来ることは必要です。スウェーデン語は必須ではありません。

特に木工科の人気は高いようで、競争率は5倍前後らしいと聞いたことがあります。毎年、各コースに5、6人くらいが新入生として入学します。

本科への合格は決して簡単ではありませんが、サマーコースは本科と同じような生活を2週間過ごせ、日本では経験できない素晴らしい時間を、スウェーデンが1年で一番きれいな時期に送れますのでお勧めです。

カペラゴーデンの一日

(私が在籍した当時)

7:30
朝食
8:00
朝礼
10:00
休憩
12:00
ランチ
15:00
休憩
16:30
夕食

 これが基本的な一日の流れです。朝食後は朝礼があり、各クラスから毎回誰かが担当となり、自分の故郷の事や、気になる物について話したり、歌ったりと色々な事を催します。 リンゴ園に行ってリンゴを摘んだりすることもあり、それが昼食時のケーキやジャムになったりすることも。

 ランチはその日で一番のごちそうです。時々出る食後のケーキがまたとても美味しいのでちょっとした楽しみでした。夕食は嘘みたいに早い時間なので、夜になるとお腹が空いてしまい、結局、何かをつまんでしまいます。

 肝心の作業時間はというと、極端にいえば24時間OK。が、機械を使うときは最低でも、もう一人が作業場内にいることが義務づけられています。

 授業とはいっても椅子に座って黒板に向かうというのとはちょっと違います。朝食後から一日が始まりますが、各自が適当に始まります。部屋に戻る人もいれば作業を始める人もいます。

 講義はあるのが決まっているときもあれば突然に始まることもあります。先生の周りを囲んで話を聞きます。天気が良ければ外の芝生のときもあるし、図書館でスライドを見ながらのときもあります。

 ミーティングの際に、日本と全然違うと感じたのは各々が気楽な姿勢で聞くこと。お茶を飲んでいる人もいれば、前に椅子を置いて足を延ばす人、床に寝そべる人などなど。

あとは個人の作業の時間。期限はいつまでって一応決まってはいるが、結局は本人次第。

「これはいつまでにやったらいいの?」と聞きに行ったとします。「それはあなたが決めること」答えが返ってくるでしょう。

「ここをこうしたいのだけど」と聞きにいけば、 「きみがそうしたいのなら、そうするといい」とあくまでも学生個人のやりたいこと、それを実現する事を優先してもらえます。

先生はあくまでアドバイザー役であり、デザインを変更させたり、ダメと言うことはなく、「こうするといいかもよ」とか、「こうしてみるのはどう?」と助言とし、自分で考え、気付かせる状況を作り出します。

生徒個人の個性と感性が最優先になっています。考えようによっては、すごく自由。 外で作業していてもいいし、どこかに行って絵を描いていたりしている人もいます。当然ながら、自己管理も大事です。

Carl Malmsten

Capellagården

Carl Malmsten - Furniture Studies


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