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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2004.11.02

第26回 立体製図の講義。そして滞在延長ビザ取得!

こんにちは、須藤 生です。僕の自宅から見える楓(かえで)の紅葉はもう終わりに近づいています。ここでは朝7時はまだ真っ暗です。このレポートが公開される時点では冬時間に戻るので、少しだけ明るくなるかな?

こんにちは、須藤 生です。僕の自宅から見える楓(かえで)の紅葉はもう終わりに近づいています。ここでは朝7時はまだ真っ暗です。このレポートが公開される時点では冬時間に戻るので、少しだけ明るくなるかな?


さて、いきなり問題です。この3面図から立体図を描いてください。時間制限は特にありませんが、簡潔に描いてみましょう。


このような図形が描けていれば正解です。10月中旬に集中実習として立体製図課題がありました。平面図から立体図を起こす勉強です。


続けて第2問。同じく立体図を描いてください。


第3問。このような3面図から立体図を頭の中で思い浮かべられる能力は、物作りをする者として必要不可欠です。今は無理でも回数をこなす事で上達する事もできますので、練習してみて下さい。答えはこのレポートの一番最後で。


次の段階では真正面から見た場合の立体図を描きました。


扉を開いたり、引き出しを出した状態にしたのは僕個人の判断です。こうする事で難易度(仕事量)が増えます。


今度は机の製図。実際に見える形状によく似た図になる投影図の実習です。ネット上でも見つけられるはずなので、詳しい作図手順は省きます。


直線ばかりなのでそれほど難しくはありませんが、十字に交わる部材の作図にちょっと悩みました。


スツール。これまではなかった丸い形状が加わっています。


立体図を描く時に視点をどれくらいの高さにするかをよく考えると、分かりやすい図を描けます。もしも目の高さが座面と同じだとすると、丸い形状が分からなくなってしまいます。


これは僕が作り始めたばかりの椅子の図面。この製図課題の目的の一つが、“プレゼンテーションの為の作図”ともなっています。図面だけではなく顧客に分かりやすい提示をすることが良い仕事への第一歩です。もちろん、現代はコンピュータで描いてしまう事が可能ですが、基本的な考え方、知識を自分の手を通して学ぶ必要があると思います。


これ以前の課題は完成図をお見せしましたが、これは作図中の状態。形状が複雑になるほど補助線が増えていくので、途中で頭の中が混乱しそうになります(笑)。集中力が必要です。


完成図。前脚の太さがちょっと違う(笑)のですが、少なくともどの様な椅子なのかということはよく分かります。この後、編み込まれた座面に見える様に線を加えました。


スウェーデン滞在延長ビザを受け取りに移民局へ出向きました。去年は3時間近く待ってやっと順番が来たので、しっかり準備をして出発です。


6月には既に延長申請をしていたのですが、やっと受理の知らせが届きました。審査期間中は滞在して良いとの許可が出ていますが、やっぱり正式な滞在許可が出ると一安心です。


今回は1時間ほどで順番が回ってきて、パスポートと受理の知らせを提出し、新しいビザをパスポートに貼ってもらいました。毎年の更新なのでこれで5枚目です。


デザイン科と家具製作科の共同課題の最初の発表が行われました。先月から始まったもので、商品として売る為の物を作ります。150個ほど作り、その売り上げでミラノ旅行に行く予定です。壁に取り付ける小物収納スペース、ピクニック用のアイデアなど、幾つかのテーマに沿って提案しました。


学校の入っている建物中に掲示をし、デザイン、アイデアへの投票を行いました。学生だけではなく、建築事務所など学外の方も見に来ています。僕たちは軽食とワインを来訪者へ振る舞いました。


なんと僕の提案が、2位に倍以上の得票数で1位! それを含めて発展させた物をまた2グループに分かれて考え、厚紙でモデルを作りました。


このように、実際の使用時と同じように原寸で作っています。


2グループの他にもう一つ、素材をいろいろ調べるグループも参加。木だけではなく、革、プラスティック、金属などの表情の違いも検討しました。


そこからさらにまた考えた案から、今度は実際に木を使ってプロトタイプの製作を始めました。この曲面に反った板は真空にした袋の中で型に圧着させる事で作り出しています。が、残念ながら写真を取り忘れました。


第2問の解答。


第3問の解答。


最後にもう一問です。答えの図は用意していませんが、考えてみてください。


それではまた!

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!