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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2004.05.26

第19回 スカンセン、お城などを見学

こんにちは、須藤生です。ストックホルムでは花が咲き乱れ、随分と春らしくなってきました。日没は既に21時以降になっていて、期間は短いけれど一日の長い夏が間近です。3週連続レポートの2回目は色々な所へ出向いた事の紹介です。作品製作の時間は少しだけでした。

家族を連れてストックホルム散歩に出かけました。これは息子のお昼ご飯。シアターなどが入っている市中心部の建物内です。


この辺は映画館や様々な店が並ぶ市中心部の通り。でも少し歩いただけで、すぐ景色が変わります。


街から橋を渡った先にある北欧美術館。探している本があり売店に寄っただけです。16世紀頃からのスカンジナビアに住んでいた民族の生活様式が保存展示されています。


こちらもすぐ近くの島にある近代美術館へ。このような怪しいエリアを見つけたらもうすぐそこ。


つい先日、改装オープンした近代美術館。建築美術館も併設していて、見応えたっぷりの模型が並んでいます。どちらも入館料無料。最新のスウェーデン建築です。


到着した時間が遅かった為にあまり見る事は出来ませんでしたが、夏休みにでももう一度来てみようと思います。もちろんベビーカーでも入れます。


こちらは僕の作品の製作です。引き出しの前板となる部位はこの様に波うっているので正確な型を用意しました。全ての曲線のR(曲率)が違うので、曲線の数だけ型も用意しないといけません。まだどの様な物が出来上がるか分かりませんね。


型に沿わせてフレース盤で加工します。この写真はまだ加工前の準備段階で、もう少し危険対策をしてから加工を開始します。加工される板には上から押さえるだけではなく、下からネジを入れて確実に固定しています。


分かりにくいですが、板が盛り上がっていて、裏側も同じようにへこんでいます。表面の段差を、極小の鉋(楽器製作などで使う)で削って滑らかにしているところです。


ストックホルムにあるスウェーデンの文化を保存している屋外美術館スカンセンの木工房で、一年生の3人が2日間公開作業をしました。象嵌、組み手、旋盤の作業を実演。僕は家族を連れて客として覗きに行きました。


彼は象嵌担当。先日の象嵌実習の製作をここで行いました。モチーフはロード・オブ・ザ・リングから。


ここではスウェーデンの伝統文化、建築物などをそっくりそのまま移築し保存展示しています。


広大な園内には動物園もあり、なんと孔雀は放し飼いでした。目の前で羽を広げてくれて僕は感動(笑)。あんなに迫力があるものだとは思いませんでした。


前回のレポートで報告したフォトショップ講習の課題発表。課題の条件は、最低2レイヤーでマスク、エフェクトを使用し、エフェクトをかけた文字レイヤーを含めて発表するようにとの事でした。僕は食事中の息子を素材にしてみました。


ストックホルム郊外にあるSkokloster城へ、家具様式の授業の一環として見学に行きました。1600年代のスウェーデンが強国だった時代に建てられたバロック様式の城です。


ここは職人達の広大な作業部屋。


ここには当時の道具、工具も大量に保存されています。お抱えの職人として、その当時の最高の道具を使用していたのでしょう。ちょっとした所に装飾の彫り物がしてあったりして、欲しくなる物がたくさんありました。右奥に見えているのは6角のボルトに付ける取っ手。現代の6角レンチのような物ですが、既にこの時代にあった事が分かります。


ここは旋盤作業をする部屋。燭台(ロウソク立て)、家具の脚などを主に製作していたようですが、驚いたのは驚異的な数の道具たち。機械も手動ではありながらも非常に高度な物で、特殊な形状に削り出す為の仕掛けなども備えられていました。17世紀のヨーロッパでの旋盤技術を保存してある唯一の場だそうです。


この城は観光客向けに大々的に開放していないようで、室内に新たに照明が据えられているような事もなく、修復をしながら当時のままになっています。シャンデリアも当然、ロウソクです。部屋によっては薄暗いのでマグライト(懐中電灯)を持って歩き回りました。

この時代の特権階級の人々は贅沢でもありますが、様々な知識欲を持っていたようで、学術的にも貴重な物や文献を大量に所蔵していました。この様な所から新たな技術の素養が生まれたのだと思います。


武器庫です。銃器から、見るからに痛そうな武器まで大量に備えられていました。石造りの建物内は暖炉に火を入れていないので、とても寒く凍えるほどでしたが、興味深い事例が多かったです。


ストックホルム市内を歩くだけでも、まだ見ていない所がたくさん(ほとんど)あるので夏休みにでもゆっくり訪れてみたいと思っています。次回は急遽、ベルギーへ行った旅行の報告です。

ではまた~

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!