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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2006.03.08

第43回 ストックホルム ファニチャーフェア 2006

こんにちは!ストックホルムの須藤です。
スウェーデンからのレポートを担当するようになってから早くも3年が経っていた事を知り、驚いています。これもひとえにご覧下さっている皆様のお陰です。そして今回はその第一回と同じ、ストックホルム ファニチャーフェア(国際家具見本市)のレポートです。

スウェーデンで暮らすようになってから毎年のように訪れていますが、去年からはプレス申請をし、今まで以上に多くの物を見る事が出来るようになりました。今年はカタログの様にまとめた去年のレポートとはちょっと異なる内容にしてみました。

ファニチャーフェアはインテリア関連企業が新製品を発表、商談をする場ですが、将来の業界を担う可能性がある学生たちも作品展示をします。これは僕が在籍するマルムステン校で出品作品の選定風景。


皆の前で出品したい物の解説、そして、なぜ出品したいのかを発表します。僕も唯一、家具木工科からの出品を希望していたので、プレゼンテーションを行いました。それらを踏まえて、デザイン科の先生などが出品作を決定。2日後の結果発表がドキドキでしたが、無事にOKをもらいました。


展示会は水曜日から始まりますが、月曜日から設営の為、会場入りをしました。見本市会場から資材(マット一枚、椅子一脚から賃貸可)を提供してもらう事も可能ですが、オリジナルの展示ブースを僕たちは用意しました。壁、柱、床マットなどを全て用意し、現地で組み上げ塗装を行いました。この写真は展示作品を搬入してやっと一息をつけた火曜日の夕方。


翌水曜日から5日間に渡って開催されるファニチャーフェアが始まりました。年々、国際的になっているようで、展示者の3割は海外からだそうです。


マルムステン校は別の場所で職人試験作品などの展示も行いました。素晴らしい作品ばかりでした。


水曜日、朝一番の様子。全ての配置が決まり、開場を待つのみとなりました。


僕の作った戸棚(前回のレポートで製作過程を詳しく紹介しています)も、無事に展示会場に到着。


ギリギリ完成したヴェロニカのベンチ。段差があるにもかかわらず、使い勝手は悪くなく新鮮な驚きを受けました。


ヨーアンの椅子。異なる角度がたくさんあるので作るのは大変そうですが、固い表面にもかかわらず、なかなかの座り心地。


子供向けのオモチャで遊ぶお客さん(もちろん子供)。タイヤが楕円形になっているので面白い動きをします。


シュテファンのランプを撮影するカメラマン。


今年の招待展示は日本の深澤直人さん。挨拶をしたくても、毎回、取材やら接客で忙しくされていてチャンスを逃しました…。


リビングをイメージした展示のようで、このワイヤー状の扉はマルムステン校の展示スペースと共通したイメージを感じます。


David Design。去年と同じくデザイン企業の集まるエリアで一番最初に目に付く場所に陣取っていました。


今年の新作Brent。


Bla Stationの展示エリア。


ここ最近のトレンドである草木柄を各社が採用しています。


Garsnasのオーケ アクセルソンの新作も草木柄。この椅子は丸いプレート上を回転するようになっているのですが、必ず椅子後部側が長くなるように考えられていて、座っている時に後ろへ体重をかけても危なくないようになっています。


違うバージョン。


椅子と揺り椅子の二役になる子供椅子。イタリアのMagis社の製品。よく見かけるアイデアですが、ここまでシンプルかつ可愛くまとめた物は初めて見ました。


Swedese社。Yngve Ekstromのラミーノが並んでいますが、ちょっと普通と異なる点が。なんでしょうか?


これもSwedese社から発表された深澤直人さんのベンチlog。


こちらも日本のNendoによる新作Polar。偏光フィルムの効果で天板を重ね合わせる向きによって紋様の見え方が変化します。うまく撮れなかったのが残念。カメラのレンズに偏光フィルターが必要でした(笑)。


さて、先ほどのラミーノですが、正解はラミーノの発表から50年を記念し、新たに作られた子供用のミニ ラミーニです。その名もLaminiラミーニ(笑)。


“今年の家具”に選出されたPeter Andersson(ペーテル アンデション)の揺り椅子TILT。これは上手いなぁと感心しました。


ミラノサローネでも見たイタリアFlos社のランプたち


スタルクの卓上ランプ。


デンマークのFrandsen社からパントンの復刻ランプ。素材はピンポン球その物という印象でした(笑)。


こちらもデンマークのLouis Poulsenから新作ランプCollage。ヘニングセンのPHランプが非常に有名ですが、これまでのイメージを覆す製品です。デザイナーはLouise Campbellという女性。


オランダのmoooi のランプ。ここはいつも奇抜な製品、他とは全く異なる展示を見せてくれますがこのランプも豪快(笑)。


ミラノサローネのサテライトの様に一番熱気があり、且つ面白いエリアがグリーンハウス。若手デザイナーや学生たちの展示エリアです。


電球を意匠として使う照明は近年のトレンドでもありますが、これもまた豪快なランプ。ヨーテボリのHDK(芸大)から。


同じフォルムに切り出された素材(柔らかいので自重で垂れ下がる)を使ったランプBloom。弱い光の電球を使う事で柔らかい光を生み出しています。日本の川野博さんの作品。


かなり精力的に活動していると感じたのがForm Us With Love。これはコードがそのまま支柱になっているように見えるCord Light。


面白いのがこれ。金属プレートから取り出したパーツを折る事でハンガー等になるんです。製品名はB.I.O(Bendable Interior Object)。名前通りの機能を有しています。工業デザインとしての製造、輸送に関しては完璧です。


綺麗な展示スペースにまとめていたSave Our Souls。ドロップ状のランプがなど注目されていました。


毎回、仕切りデザインで楽しませてくれるコンストファック。今年も素晴らしかったです。


シャープな線と点がとても美しい川瀬恵輔さんのTension。これを小さくしたペン立てがとても可愛い。


綺麗な展示スペースにまとめていたSave Our Souls。ドロップ状のランプがなど注目されていました。


このサイドボードで僕の息子は扉の開け閉めや、引き出しの出し入れをして遊んでいました。もちろん、扱いは丁寧確実(笑)。


黙々と遊んでいたらノルウェーの新聞の記者から注目され、なんと撮影が始まってしまいました。


多くの人が訪れる見本市会場内にはいくつもレストランがあります。ここはその中でも一番、静かそうで選んだ場所。子供二人と妻を連れてきた日に奮発しました。


ボリュームあるマグロ料理を期待していたのですが、随分とこぢんまりとした上品な料理が…。でも、美味しかったです。


そして、一週間後のある日、ノルウェーから嬉しい連絡が。Aftenpostenという新聞に僕の息子がデカデカと載ったのです。なんとノルウェー最大の新聞らしいです。僕の家具ではなく、息子がこんなに目立つとは(笑)…。現在は、職人試験のまっただ中なのですが、お祭り的雰囲気のあるこの期間中は良い息抜きとなりました。そして、良い意味でのたくさんの刺激も受けました。僕も頑張ろうっと。


木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!