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スウェーデン木工留学記

ストックホルム編

2008.07.09

第65回 著書「スウェーデンで家具職人になる!」を発売しました

こんにちは! ストックホルムの須藤です。これまでの5年間、JDN上で僕のスウェーデンでの様々な経験を紹介してきましたが、書籍として一冊の本にまとめる機会を得て、先日ついに発売に至りました。

当JDNレポートや、このサイト上に掲載している事柄などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。家具に興味がある方だけではなく、様々な方を対象として書き上げました。日本とは全く違うスウェーデンの技術教育の内容や、創作における考え方など、多くの方にご覧頂きたいです。

少しだけ中身をご覧ください。


まずは、僕がスウェーデンに来るまでの経緯、そして最初に学んだカペラゴーデンという学校を紹介しています。


カペラゴーデンについては第2回レポートや、第48回レポートをご覧ください。世界でもまれに見る最高の環境を有した物づくり、そして芸術家の為の学校だと思っています。


入学して最初の課題であった、「生の木から器の加工」については、第3回レポートでも紹介しています。水をたっぷり含んだ木って、すごく柔らかいんですよ。


他にも木工旋盤(ろくろ)などの特別課題の話や、照明についても書いています。カラー写真がたくさん含まれているのも、この本の特徴です。


日本のテレビ取材を受けた際に作っていた戸棚です。シンプルな構造に見えますが、色々と手間のかかるディテールが隠されています。


地下鉄へ乗ります。


初めて椅子製作だったのに、選んでしまったのがこれ。背中の薄板が特徴です。


第二部には、スウェーデン滞在中、最大の出来事でもある、長男誕生時の話を書いています。


日本とは随分と違う環境での出産となりました。出産室がまるでリビングルームのようでした。他にも驚くことがたくさんありました。


そして、ヨーロッパ最高峰とも称されるほどの名声を誇っているマルムステンCTDへの受験。このあたりからが、当JDNレポートと重なります。


しかし、レポート内では様々な出来事を平行して紹介していた為、製作過程などは決して分かりやすいとは言えませんでした。


書籍内では各課題ごとに内容をまとめ直していますので、ずっと読みやすくなったと思います。


特にこの机の製作は、ややこしい工程ばかりでした。将来、また作ることがあったとしても、工程を理解しやすくなりました。


製作過程は専門ではない方には少々退屈かも知れませんが、少しでも内容を理解しやすくするために、難しい言葉はなるべく使わないようにし、参照しやすいように、たくさんの写真を載せています。


これは、無垢の木が持つ負の特性(ねじれや、収縮)を考慮した構造になっています。


そして家具製作以外に学んだことについても、色々と紹介しています。プレゼンテーション、作品写真の撮影、画像の扱い方などは、作品集の制作や売り込み時などにも役立つ実践的な内容でした。


この椅子は、貸し出しを受けたオリジナル作品から採寸し、図面(三面図と立体図)を描いて、オリジナルと同じ物を作っています。


一般的な量産家具には絶対に用いられないような、家具金物とテクニックも紹介しています。


木にピタリと金物をはめ込み、木の表面と全く同じになるように削り合わせます。非常に手間がかかる方法ですが、綺麗な家具を作るためには必須の技術です。


出来上がったのが、この小さな戸棚。わざと変わった形状にしています。


この本の一番のテーマである職人試験の受験についても、受験作品の構想段階から詳しく述べています。それなりのプレッシャーはありましたが、なかなか楽しかったです。


当初は原寸図面を付録にしたいと考えていたのですが、リスクが多いということで、見開きサイズ(A4)になりました。とはいえ、十分に図面を読み取れる画質に収まっています。引き出しの構造などを想像してみてくださいね。


時間との戦いにもなった製作過程も、詳しく載せています。今になって思うのですが、ちゃんと写真を撮っておいて良かった~。


完成した僕の受験作品「ハッセルブラッド」です。スウェーデン製のカメラを収納することを目的として作っています。


全国の書店やネット書店で購入可能です。こちらのページもご覧ください。


興味深い内容にまとまっていると思いますので、たくさんの方にお手に取っていただきたいです。感想をお待ちしておりますね。

木工留学記

 カペラゴーデン編

メルマガで配信していた留学記です。主にカペラゴーデン留学中の1999-2003年頃の事柄を紹介しています。

子育て記

日本とは異なるスウェーデンの出産育児を絡めながら、2003年の長男誕生前後を紹介しています。

木工留学記

 ストックホルム編

カペラゴーデンの終わり頃と、ストックホルムのマルムステンCTDでの事柄が中心です。2003年からJDN(ジャパン デザイン ネット)上で7年間、連載していましたので読み応えがあります。

本になりました!

スウェーデンで家具職人になる!
税込み価格1890円
須藤 生著 早川書房発行
ISBN 978-4-15-208925-0

当サイト上に掲載している内容などを新たにまとめ直し、さらには書き下ろし記事もたくさん追加しています。写真だけではなく、図面なども豊富に盛り込んでいます。興味深い内容になっていると思いますので、ぜひご覧ください!